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半同棲していた大好きな、大好きな彼が自死で居なくなってしまいました。
当たり前に明日があったのに。
助けてあげられなくてごめんね。

祖父

さっき父から連絡があった。


父と言っても、5歳で離婚しているのでほとんど一緒に暮らしては居なかった。

正直記憶もほとんどない。

ただうちも多少複雑な家で、高校卒業後3年ほど父と住んで居た。


まあ仲が悪かった訳でもないから、時々、本当に時々。

いや、今までに数える程度かもしれないけど。

小学校とか中学校の時に父と会った事はあった。


それなのに、なぜか高校卒業後父と住んだ。

理由は単純で、私が都内に進学して父が東京に住んでたから。


普通なら嫌がるかもしれないけど、私はかなり能天気だし、何も気にしないで一緒に住んだ。


就職して出て行ってからもう7年近く経つけど、その後は数回会ったかな?


そんな感じの父。


一緒に住んでいる時に祖父母にも会った。

子供の当時の記憶からしてもあまり覚えてないけど、かなり歳を取ったなあ…

と言った印象。


ただ、父は一人っ子で孫は私と弟しかいない。

久しぶりに会えた事。

まさかまた話ができると思わなかった事。

とても喜んでくれていた。


私はその時は何にも考えてなくて。

少しめんどくさいなあ。

くらいに思ってたけど、かわいい孫を演じてた。


そんな父から久しぶりに連絡が来た。


祖父が癌らしい。

もう長くない。

あまり会ってないし、どうするかは自分たちで考えて欲しい。

ただ、お前たちのルーツだから連絡はした。


そんなメールだった。


弟に連絡した。

実は弟も都内に進学していて、私が去った後に父と4年ほど住んでいた。


会いに行くか行かないか。


もし今行かないで、葬式も行かなかったら。

たぶんそれはそれで終わると思う。


だけどそれでいいのか?


葬式に行くくらいなら今行こう。

生きてるうちに会おう。


それが結論だった。


だけど。

もう人が死ぬとかそんな事は見たくない。


まして、死ぬ事が分かっている人に会う。

それがどれだけ苦しいか。


昔の私なら分からなかったけど、今はそれが恐怖としか思えない。


もしかしたら色々と後悔してるかもしれない。

楽しかった思い出もあるだろう。


祖母はどうか。

愛して連れ添った人が居なくなる。

それがどれだけ辛く切ないか。


痛いほど感じる。


泣いてもどうにも出来なくて。

願っても祈っても。

何をしてもどうにも出来ない。


そんな人に会って、私は耐えられるのか?


会わなければ、何事もなく終わるかもしれないけど。

やっぱりそれはずるい。


だって私と20年ぶりくらいに会った祖父は本当に嬉しそうだったから。


命は儚い。

偶然

彼に会いたい。

それは永遠の願い。


大好きな彼は、どうして居なくなっちゃったのかな?


色々考えた。


鬱だったのかな?

微笑み鬱なんてのもあるらしいし。

隠してたのかな?

死にたいと思う事、前にもあったのかな?

ずっと悩んでたのかな?

私の事、思い出してくれなかったの?

今は後悔してない?


本当に、本当に色々考えた。

ネットで調べても答えはない。


遺書もないから、理由もわからない。

私が1番近くにいたから。

私が分からなかったら誰も分からない。


だけど。

多分彼は死ぬ気があったわけじゃないと思う。


ただたまたま。

色々な偶然が重なって。


居なくなっちゃったんだと思う。


確かに悩みはあった。

それは間違いない。

仕事も忙してくて。

だけど彼はそれで死んでしまうような人ではない。


寝不足。

疲労。

雨。

1人。


たぶん1つ1つでは平気な事が、たまたま重なって。

もう取り憑かれたように居なくなっちゃった。

そう思ってる。


私のことを思い出すような事もなく。

死ぬとか生きるとか。

楽になるとか。

そんな事じゃなくて。


無我夢中で居なくなった。


そこに意思はなくて。

他に選択肢もなくて。

まっすぐに。


なかなか伝わらないけど。

そう思ってる。


きっと人間て、私たちが思うより圧倒的にもろくて。

生きてる事は奇跡なんだろうな。


たまたま、生きていける環境があるだけ。


命って儚い。

簡単に崩れてしまう。


その不安定な命は、いつバランスを崩してもおかしくない。


いつもギリギリで保ってるだけ。


彼にはもう何も聞けない。


だから全部憶測。

私の妄想。


でも今はそう思ってる。

たったそれだけの事

今日はお店がすごく賑やかだった。

冬は暇なことが多いから、彼が居た夏もこんな感じだったなあ…

なんてふと思った。


いつも楽しそうに笑ってて。


初めは付き合った事をお客さんに内緒にしてたから、店ではよそよそしく苗字で呼んだりしてた。


でもお互いすごくめんどくさがりで。

すぐに気にしなくなった。

だからだんだん知られていって。

みんなにお祝いされた。


まるであの頃みたいに今日は混んでた。


みんな楽しそうだよ。

元気だよ。


あの頃と変わらない。

いつもの常連さん。


彼と仲の良かったあの人も。

彼が嫌いだったあの人も。

彼のライバルだったあの人も。


今日も変わらず。

あの頃と変わらず。

何も変わらず。

楽しそうに。


ただ彼が居ないだけ。


たったそれだけのこと。


100人以上いる常連さんの中のたった一人。


みんなにとってはただそれだけのこと。


あの時、あの時期は一緒に悲しんでくれたけど。

今も彼を想ってる人は何人いるだろう。


今私がどんなに彼を想ってるか。

今でも彼を愛しているか。

大好きで大好きで。

あの日を後悔しているか。


一体誰が知ってるんだろう。


なんでこんなに悲しいんだろう。

なんでこんなに苦しいんだろう。

どうやったら楽になるの?

いつになったら終わるの?

誰に聞いたら分かるの?


まだまだ止まらない気持ちの波。


ここだけが救い。

唯一本音を言える場所。


聞いて欲しい。

答えがないのは分かってるけど。

答えなんて求めてないけど。


私が彼を愛してる印を残したい。


今日は全然気分が上がらない。

一人になるとダメだ。


帰って、ただいま。

そう言っても返事はない。


そんなアパートに今日も帰らなくては。


ただただ会いたい。