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半同棲していた大好きな、大好きな彼が自死で居なくなってしまいました。
当たり前に明日があったのに。
助けてあげられなくてごめんね。

アボカド

彼はアボカドが好きだった。


私もアボカドが好き。


だった。

過去形。

もうその表現にも慣れた。


たぶん1番一緒に食べたんじゃないかと思う。

少し柔らかくて大きいアボカド。


わさび醤油で食べる。


最後に一緒に過ごした夜も食べた。

だけどそのアボカドは少し腐ってて。

彼が切ってくれたけど、正直イマイチだった。

まあたまにはこんな事もある。


だから私は。

彼と別れた後にまたアボカドを買った。

一緒に食べようと思って。

美味しそうなアボカド。

リベンジだ!と思って買った。


だけど、もう。

その時彼はこの世にはいなかった。


そんな事しらないで。

ルンルン気分で買った。


その後警察から連絡が来た。

友達と私の実家でご飯を食べたとこだった。


アボカドは、食べられずじまい。

食べる気になれず。

捨てた。



あの幸せの時間は、一瞬で悪夢になった。

もう二度と覚めない悪夢。


一緒に食べるはずだったアボカド。

食べられなかったね。


なんでこんなことに。


ごめんね。

記念日

今日は記念日!

おめでとう。

ありがとう。


31日に付き合ったから、月末が記念日だね!

そうやって話をした。


彼と付き合ったのは、偶然とタイミングが重なった。

まあかっこよく運命だったなんて言えたらかっこいいけど、そんな訳でもなく。


でも確実に言えるのは、お互い惹かれあっていて。

そのタイミングが偶然にも重なって、一緒になれた。


付き合う時、


大切にするよ。


そう言ってくれた。


そして本当に本当に大切にしてくれた。

愛してくれた。


だから月末はありがとうを伝える日。


ありがとう。

本当にありがとう。


あとね、今日ついに届いた!!

まるで記念日を待ってたかのように、住所の手違いやらなんやらで今日届いた。

プレゼントみたい。


シルバーのネックレス。

ハワイアンジュエリーなんだけど、プルメリアとスクロールの模様のクロスペンダント。


自分でネットで買ったんだけど。


彼は、お風呂も運動中も寝る時もいつもクロスペンダントを付けてた。

10年以上前に自分で買ったって言ってた。

もちろん最後の最後まで。


彼がいなくなって、彼を感じていたくて。

本当は彼のペンダントが欲しい。

それを毎日着けたい。

だけど出来ない。

頂くことは出来ない。

だからクロスペンダントを買った。


ハワイアンジュエリーにした訳はね。

模様の意味が素敵で。

プルメリアは愛。

スクロールは永遠。

そんな意味なんだって。

だから彼をイメージしてオーダーした。


こんなもの買ったからって何になるのかは分からない。

だけど凄く心が落ち着いた。

シルバーだから毎日身につける。

いつも一緒だ!!


あともう1つ理由がある。

実は毎日彼と私の写真を持ち歩いてる。

どこに行くにも一緒。

コンビニも、スーパーも一緒。


正直それに限界を感じてる。

周りの反応。


だから、バレないように彼を感じる方法。


一生離れたくない。

3回目の月命日

そう、今日で3回目。


2回目の時に初めてお墓に行った。

彼のお母さんに案内してもらって。


彼のお母さんは本当に優しくて。

彼の思い出の品を色々と頂いた。

実家にお線香をあげにも何度も行った。

話も沢山聞かせてくれて、聞いてくれた。


だけど、やっぱり不安になる事がある。


私がお母さんに会う事は迷惑じゃないのか。

気を遣わせて、本当は私の顔なんて見たくないのかな。


彼を亡くした私も辛い。

だけど子供を亡くしたお母さん。

私には想像出来ない辛さだと思う。


まだ31歳。

やっと仕事も落ち着いて。

一人暮らしも始めて。

これからって時に。

想像もしてなかった別れ。


だからどうしても、お母さんに

「ごめんなさい。私が帰らなくて、守らなくて、何もしなくて、アホで、バカで、気づかなくて、ごめんなさい。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」


そう伝えたいんだけど。

どうしても、どうしても。

怖くてその一言が言えない。

いや、言えなかった。


それから、1ヶ月。

何回お墓に行っただろう。

会いたくなると行ってる。

あれからお母さんには会っていない。

もしかしたらもう会えないのかもしれない。

だからごめんなさいが言えなかった代わりにお墓に行く。

そんな言い方するのも変だけど。

彼にもう寂しい思いはして欲しくないから。


だからもちろん今日も。


今日はひとりで。

予約しておいたお花と、大好きなクリアアサヒを持って。


私の家とお墓の通り道に、一緒に過ごした彼のアパートがある。

今はもう空き家になってる。

そこを通らなくても行けるんだけど、お墓に行く時だけは必ずそこを通って行く。

相変わらずの景色。

その中に彼の姿だけがない。

いつもカーテンが閉まってて。

外にはゴミ箱が置いてあって。

楽しい思い出の詰まったアパート。

もう何もなくなってしまった。

正直、涙が止まらない。

もうこのまま何処かに行ってしまおうか。

彼に会いに行ってもいいんじゃないか?

そんな事を考えながら。

今日もその道で泣きながら車で走らせた。

まあ私に彼の元へ行く勇気があれば、とっくに行ってる。

その勇気、私は持ってないから。

自分で分かってるから。

余計に悔しい。


お墓はお寺の奥の方にある。


桶に水を入れて。

すれ違う人に挨拶をしながら。


今日は私が行く直前に誰か来てたね。

綺麗なお花に取り替えてあったよ。

お線香もまだ少し残ってた。


きっとお母さんだね。

良かったね。

いつかここで会えるかな?

そしたら話ができるかな?

彼が大好きだったお母さん。

甘えん坊だったから、何かあるとお母さんに頼ってた。


お花は私のも一緒に混ぜた。

花の系統が似てたから、すごく綺麗で豪華になった。

目立つのが好きだから、きっと喜んでるよね。笑


もうお墓は綺麗になってたから、クリアアサヒだけ供えて。

少し話をして来た。


返事はない。


そんな事もうとっくに分かってる。


虚しいよね。

だけど、ひたすらに話しかける。


ごめんね。

そして、ありがとう。

大好きだよ。


また来るから待っててね。


そう伝えて来た。



明日、待ちに待ったあるものが届く。

ネットで頼んでたんだけど。

まるで月命日に彼が届けてくれたかのように今日連絡があった。

本当は年明けになるかもしれなかったのに。